February 25, 2004

遺伝なのかも・・・

サンクチュアルな感性というものは、もしかすると遺伝なのかもしれないと思う。母から子へ、子から孫へという具合に。なぜ急にそのように思ったかというと、自分の家庭環境というのは、特に神社やお寺というわけではなかったけれども、まるでそういう家庭で生まれ育ったのと同じくらい、ごく日常的にそういうものを教えられて育ったからだ。つまりは、聖なる領域というものは厳然として存在し、それを当たり前だと思って育つ。祖母に言わせると、6人いる娘たちの中で、そういう感じ取るパワーが一番強いのがあたしの母であり、孫の中でもあたしが一番そういう感性が強いらしい。そういうわけのわからぬ信念のもとに、祖母や母に連れられてあちこちの神社や仏閣をお参りしたり、それこそ近所に教会ができたといえばそこへ通わされる。つまりは、特定宗教というわけではなく、そういう霊感というか、修行というか、そういうものを子どもの頃から仕込まれる。自分としては、そういうのはどこかババクサく、それでいてそういうものから逃れられない自分というものがあり、それはある時不意にひょっこり現れる。すでにうちの人たちの場合は慣れているために、知り合ったばかりの頃は、自分のわけのわからない部分を怪訝そうに思っていたような気がするけれど、今では当たり前のように思っているみたい。
祖母はそれこそ本ばかり読んでいる人だった。ほとんどが宗教関連。そして、ふら〜っと旅へ行く。不思議な人だった。年寄りだからと思っていたけれど、若い頃からそうだったらしい。母は、どちらかというと派手な美人で、そういうものがあるようには見えない。ところが、いざとなると強烈。これは説明できない。ごく日常的にそういう人たちに接していると、どこか感性が違ってくるらしい。だから、大学でカトリックの大学へ入った時、まるで違和感がなかった。そこには日常的に神さまがいて、聖なる領域が厳然として存在している。そして、学生はそこへは入れない。眼に見えない壁がある。自分はただそういうものを雰囲気として察知するという生活。それは狂信的ということとはまるで違う。つまりは、聖なる世界を察知する能力なのかもしれない。いわば、動物的本能かもしれない。動物には人間にはわからない能力があり、行動する。これは、知覚できる可視範囲や嗅覚が違うからなんでしょうし、サンクチュアルな部分を察知する能力に個人差があるのも、実はそういうことなのかもしれないとすら思ってしまう。男の人にもそういう部分はあるんでしょうけど、自分の場合は、そういう能力は母系のようで、だからたまに冗談で巫女体質などと言われるような気がする。
そういうわけで、自分の場合は、それこそそういう家庭環境で育ち、それは金を稼ぐという世界とは別に存在し、特に自分の場合は働いたこともなく、「空はどうして青く見えるのだろう」などということから始まり、人間の知覚や認知に興味を覚え、研究生活へ入る。いっそのこと出家したほうがわかりやすいような気もするけれども、それも自分の道とは違うらしいし、世界というものがいかに謎だらけなものかを子どもの頃から教えられて育ったために、そのごく僅かな部分でも知りたいと思うのは当たり前なのです。そして、うすらぼんやりしながら子育てをし、科学者の街に住み、子どもと月や星の話をし、歌を詠む。昼寝用の哲学書。ダンナは医者。誰かの死が日常的に落ちている。ポケベルが鳴ると、またか、って思ってしまう。旅行の時期すら、誰かの死を計算していたりして・・・
そういう中で、それこそ今度は狂気から上位概念。ネットをやってもこころのウェブ。まさしく”本物”の皆さまがやって来る。あまりにも強烈。朝からヒマがあれば、BBSにおけるカウンセリング・サービス。そういう中で短歌。一日中、サウンドを聴いている。未読本や未開封CDの山。なんて人生は短いのだろうと感じてしまう。

ある意味、アートな感性というのは、こういうサンクチュアルな能力に左右されている気がすることがある。つまりは、努力で補える部分と努力では補えない部分があり、そういう壮絶なメンタリティに耐えられない人たちも、アートな世界の人たちには多いのは当たり前のことだ。それだけ聖なるパワーというのは大きい。
詩ですら、魂の深いところから・・というでしょ?だから、魂の汚い人たちには美しいサウンドは響かない。信仰心のない人のクラシックなんて何のために演奏しているのか、ちと理解に苦しむ。それはクラシックだけではなく、ポップスだろうと、アフリカのサウンドだろうと同じ。どこか、音楽に限らず、アートは宗教とは切り離しては存在しないらしい。音の中に魂を聴く。文字の中に魂を聴く。そういうものは、知識では補えない。感性というものはそういうものであり、知能と知性の違いにも似ている。

要するに、わからないことだらけだから、学問やアートがあり、すでにそれは自分にとってはごく日常的な出来事であり、それがどのような発露につながるのかはわからない。それこそ才能というのも人それぞれなんでしょうし、そういう言の葉を凌駕した部分がもどかしいから、何かで表現しようとするのかもしれない。単なる石の庭にも、深い人生観がある。それと一緒で、自分の人生そのものが石の庭だ。残念ながら自分には下手な歌を詠むくらいしか能がないらしい。それでも、娘の中に何かが伝えられていくのかもしれないと、この頃感じる。赤ちゃんの頃から絵を描く。誰に似たのかと思ってしまう。おそらくは姑さんのほうの血なんでしょうけど、手先の器用さや絵の感性はすごい。上手とか下手という部分をすでに超えた何かがある。

あたしって、ヘンだよなあ・・・
あまりにもヘンだと思うのに、あまりにも普通だ。
ごく普通にサンクチュアルな世界を行き来できる人たちには、特にめずらしい感性でもないらしい。それでいて、ごく普通の生活をしている人たちからすると、ちょっと変わっているらしい。変わっていたとしても、人には運命というものがあり、あの親から生まれ、こういう自分の変わった人生があり、さらにそのあたしから生まれた娘。初めて会ったのに懐かしい人たち。何度言葉を重ねても理解しあえるものが何もない人たち。誰にも理解されないまま、ごく普通の日常というスパイラルは続く。

投稿者 Blue Wind : February 25, 2004 02:31 AM
コメント

blue windさま はじめまして

このページは私の夫がみつけました。私が時々、不可思議な事をしたり、私をときどき不思議な話をするたび、夫が理解できずにいて、理解できない事を少し悲しく感じている様でした。

blue windさんの文章を見つけて「同じような事を言ってる人みつけたよ」と教えてくれました。
私が口下手でなかなか伝えられなかったことを代弁してくださっているような気がしました。ありがとうございます。

物心ついたころから、私の中にサンクチュアリはありました。私はこの感性をかけがいの無いものとして大切にしていきてきたからこそ誰にもけがされたくないし、絶対に誤解を受けたくもない。そんな気持ちでした。

でも一緒に暮らす人にはやっぱりちょっとはわかってほしいなぁと思う時があって、それがしばしばいさかいの原因になる事も。

それでも、結婚を機にその世界に自由に行き来する機会が少なくなりました。社会性や、共存社会の中でコミットメントしていく代償かなぁとも思います。その点が、bleu windさんとは違うかもしれません。
少し寂しい気もします。

まだ、私には子どもがおりません。多分へんてこりんな事を言ったりするのが生まれるのでしょう。せめて子どものへんてこりんを見守れる心の余裕がある親になりたいものです。

夫婦喧嘩を減らしていただいてありがとう。では。


Posted by: ss : March 25, 2004 09:35 PM

コメントありがとうございました。
Blue Windというのはサイト名なのです(笑)。

喧嘩かあ・・・
一番記憶にあるのは、神戸の震災の時かもしれません。主人の実家が焼けて、その時、何の理由もなく神戸への帰省に大反対したために、とりあえず火の中を赤ちゃんを連れて逃げ出さなければならないという過酷な運命からは逃れられたようです。
理由もなく、ダンナの実家へ行かないというのは非常にまずいわけですけど、むしょうに行きたくなかった。被災した親たちには申し訳ないけど、まだ娘が一歳で、神戸から戻るに戻れなくなり、ということを考えると、それ以来、喧嘩はしなくなりました。

こういう感性は、理屈ではないから、説明に困りますよね。でも、理解されようと思わなければ特に困らないです。その反動で、実際にはまったく逆のタイプなんでしょうけど。理解されないことに慣れたがゆえに、きわめてクールで合理的であろうとしすぎなのかも。隠しているのかな、いや、違うな。

お役に立ててよかったです。(ほんとかな・・)

Posted by: Rin@管理人 : March 27, 2004 03:37 AM

名前をまちがえてごめんなさい。
あまり、パソコン世界は得意でないのです。
ほほ。お返事ありがとうございました。

Posted by: ss : March 27, 2004 09:34 PM

いえいえ、最初にBlog(このサイト)をアップしたときに、投稿者名の設定をサイト名でしてしまったようで・・・あとになってから気が付いたんですけど、ついめんどーなのでそのままにしてあります。
今までコメントが入ったことがなかったので・・・(笑)

のんきに管理しています。
コメントありがとうございました。

Posted by: Rin@管理人 : March 28, 2004 03:22 AM
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